トップメッセージ

現代は、将来の予測が困難なVUCAの時代といわれています。このような事業環境の中で、当社グループが競争力を維持・向上させ、持続可能な成長を実現するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要不可欠であると認識しています。

DX実現に向けた取組みとして、新規ビジネスモデル創出、新たな顧客価値の創造、既存プロセスの変革、社内業務効率化という 4つのテーマに基づき、DXの基盤構築を進めてまいります。そして、これらの取組みと並行して、大切な情報資産を守るための情報セキュリティの強化にも注力してまいります。

また、昨今進歩が著しいAI技術についても、さらなる製品品質や生産性の向上、環境負荷の低減を目指し、システムの開発体制を整備しています。

私たちは、DXを通じて新たな付加価値を創造し、企業価値の向上と社会への貢献の両立を目指します。

代表取締役社長兼COO
川本 洋祐

1. レンゴーグループにおけるDX推進の基本方針

レンゴーグループは、2025年度から2029年度までの5カ年の中期ビジョン「Vision120」を策定し、その中において、マテリアリティ(重要課題)への取組みの一つとして、DXの基盤構築を掲げています。

進展する社会のデジタル化は私たちの生活を豊かにし、消費行動を大きく変えつつあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機にeコマース(電子商取引)も一段と普及しました。eコマースで注文したものを包んで届けるために不可欠なパッケージは、今後、デジタル技術と融合することにより、生活を豊かにする社会インフラとしてますます重要な役割を担っていくものと当社は考えます。

このように事業環境がめまぐるしく変化する中、レンゴーグループは、多様化するニーズに対応した高付加価値なパッケージを供給すべく、製造、物流、販売などさまざまな業務プロセスにおいてデジタル技術を活用し、新規ビジネスモデルの創出、新たな顧客価値の創造、革新的な業務の効率化などDXに取り組んでまいります。

その実現のため、5Gなど最先端情報通信技術も活用しつつ、デジタル技術(Cyber)とそれを使う人間(Physical)との調和の上に成り立つ独自のCPS(Cyber Physical System)の構築を図り、CPSを基盤にイノベーションを生み出す企業風土を醸成してまいります。

2. レンゴーグループのDX戦略

レンゴーグループは、以下のテーマを基にDXを推進してまいります。

テーマ 具体的な施策
新規ビジネスモデル創出
  • デジタル印刷パッケージの拡充
  • 自社開発デジタルツールの外販
  • 顧客とのデータ連携による自動受発注システムの開発・販売
新たな顧客価値の創造
  • センサーを活用したIoT、AI技術による品質・サービス向上
  • 調達・生産工程の見える化によるサプライチェーンの最適化、低炭素社会の実現
  • バーチャル技術を活用した提案型営業
既存プロセスの変革
  • 配車システムへのAI導入による物流効率化
  • デザイン・包装設計へのデジタルデータ活用による提案準備時間の短縮化、データ保管の安全性向上
  • モバイルネットワーク時代に対応する新たな営業手法、販売チャネルの開拓
社内業務効率化
  • 働き方改革の一環としてのペーパーレス化、テレワーク対応
  • デジタル技術を活用した採用活動、社内教育
  • 自社のITエンジニア養成による開発体制強化

① DX戦略の推進体制

「DX推進検討委員会」の設置

2020年4月に、代表取締役社長を委員長とする「DX推進検討委員会」を設置し、全社を挙げて事業プロセスのデジタル化を図るとともに、DX人材の育成および採用にも取り組んでいます。
また、2023年8月には、当社製紙部門内に「デジタル推進部」を新設し、製紙工程へのデジタル技術の活用や、物流業務の効率化などの課題に集中的に取り組む体制を整えました。

人材の採用および確保

ワーク・ライフ・バランス実現のための雇用環境の整備や、テレワークの制度化などにより、働き方改革を推進し、多様性のある人材の採用および定着に努めています。

データ分析人材の育成

データ分析を製品の需要予測や生産設備の故障予測などに役立てるため、各事業部門から受講者を募り、「データ分析人材育成研修」を実施しています。研修を通して、AIを活用した分析ツールを活用し、データ分析による客観的な判断ができる人材を育成しています。

② DX推進のための環境整備

「デジパケ®」の推進

当社グループは、美粧性に優れ、プロモーション効果の高いデジタル印刷によるパッケージ「デジパケ®」を展開しています。今後もデジタル技術を活用した製品ラインアップの拡充を図るため、積極的な設備投資や研究開発投資を実施してまいります。

DX関連予算の確保

毎事業年度、DX推進のテーマ別に設備投資予算を確保しています。

データレイクの構築

生産設備のセンシングデータなど社内で発生するさまざまなデータを収集・分析するために、データレイクを構築しました。今後はデータレイクに収集するデータを拡充して、社内のデータ利活用を推進してまいります。

データレイク…企業活動で生じるさまざまなビッグデータを生データのまま格納できるストレージのこと。

3. DX戦略の達成指標

① 財務指標

DX戦略の達成を業績目標の達成とみなし、当社グループが2029年度(2030年3月期)に目標としている次の重要な経営指標と同一としています。

  • 売上高:1兆2000億円
  • 経常利益:720億円
  • ROE(自己資本利益率):8.5%
  • D/Eレシオ:0.7倍

② DX人材の育成および確保に関する指標

  • 「情報処理安全確保支援士」資格保持者数 5名
  • 「データ分析人材育成研修」受講者数 20名/年

「DX認定事業者」に認定されました

レンゴー株式会社は、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」に認定されました。DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタルによってビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)にある事業者を国が認定する制度です。

DX認定