地球上では多種多様な生き物と自然環境がバランスを保ちながら共存しており、私たちの暮らしや事業活動は豊かな生物多様性の恵みに支えられています。豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたり享受できる自然と共生する社会を実現するため、事業活動を通じた自然資本への負の影響の最小化を目指します。

自然環境の保全

自社と自然資本のつながり

事業活動と自然との関係について把握し、自然資本の保全に向けた取組みを推進するため、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿った分析・評価を進めています。環境影響分析ツール「ENCORE」を活用し、当社グループの事業ごとに原材料調達、製品の製造と輸送について、自然への依存と影響を分析しました。さらに、主力事業である板紙・紙加工関連事業を対象に、自然資本の保全への取組みを整理しています。

Natural Capital Finance Alliance(NCFA)が、自然資本保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)と共同で開発した自然関連リスク分析ツール

LEAPアプローチの概要と現在の取組み状況

発見する、診断する、評価する、準備する、の4段階のうち現在までの取組み範囲は発見する、診断するの2段階

TNFDのLEAPアプローチを参考に作成

板紙・紙加工関連事業の自然資本の
保全への取組み

レンゴーグループ自然資本の保全への
取組み
[日本語版]

FSC®森林認証

当社は、木材パルプの調達が適切に行われていることを確認し、適切に管理された木材原料を購入するため、FSC森林認証制度を活用するとともに、FSC森林認証製品の普及にも努めています。木材パルプを原料とする当社の製品の全てでFSC森林認証(CoC認証)を取得しており、FSC森林認証製品として供給することが可能です。

  • FSC森林認証とは、適切に管理された森林から切り出された⽊材や再生資源の適切な加工・流通を証明する国際的な認証制度です。
  • FSC®C119241、FSC®C126809

自然共生サイトの管理と活用

ビオトープでの生態系保全の取組み

当社グループの事業所・工場では、地域社会や地域環境とのつながりの中で事業活動を行っています。特に湧水や原生林、地域固有の動植物など豊かな自然環境に囲まれた当社福島矢吹工場および武生工場では、敷地内にビオトープを造成し、生物の数・種類を把握するモニタリング調査を10年以上継続して実施しています。2拠点ともに環境省の「自然共生サイト」に認定されています。

「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」のことで、環境省が令和5年度より認定制度を開始。

武生工場ビオトープ
福島矢吹工場ビオトープ

海洋環境の保全

海は多様な生物が織りなす均衡の取れた生態系です。しかし人間の活動により、そのバランスが脅かされています。2050年には海洋プラスチックごみが魚の重量を超えると予想されており、日本沿岸でも藻場の減少による海の砂漠化が深刻化しています。当社では、藻場の再生や海の環境を守るため、長年培った段ボール技術や海洋でも生分解可能なセルロース製品を活用した取組みを行っています。

藻場再生資材の開発

当社では、海洋生分解性認証を取得したセルロース製品を活用し、海の生物多様性を支える重要な存在である藻場の再生につながる取組みを行っています。
例えば、現在、海藻の養殖には石油化学系の種糸が使われていますが、回収の手間やマイクロプラスチック化が問題になっています。そこで、海藻が定着するまで強度を保ち、その後は最終的に海中で生分解される種糸や海洋生分解性プラスチックと組み合わせた新しい素材の開発を進めています。

ワカメ養殖に使用されると種糸としての活用例

耐水・保冷段ボールの開発

鮮魚や水産物の流通に広く使われる発泡スチロール箱は、その利便性の一方で、使用後、小売店や一般家庭で適切に処理する方法が課題となっています。米国の一部では使い捨て発泡プラスチック容器の使用が禁止されている地域もあります。また、自主的に発泡スチロールを使用しない方法を模索している大手小売店などもあります。
当社では、この課題を解決する一つの選択肢として、発泡スチロール箱に匹敵する耐水性・保冷性を持つ段ボールの開発を進めています。

タイの輸送テストに使用される耐水段ボール

海洋マイクロプラスチックの削減

海洋マイクロプラスチックは、プラスチック製品が砕けた二次マイクロプラスチックと、もともと微小な一次的マイクロプラスチックに分けられ、これらは海に流出した有害物質を濃縮し、食物連鎖を通じて人体へ悪影響を及ぼすリスクが指摘されています。
当社が開発した球状セルロース粒子(ビスコパール)は海洋生分解性認証を取得しており、化粧品などに含まれる微小なプラスチック粒子の代替材料として既に多くの製品に採用されています。今後もより幅広い分野での活用を推進していきます。

対馬の海岸に漂着したさまざまな
海洋プラスチックごみ

環境事故と汚染の防止

環境事故への対応

日常点検や自己チェックによる異常の早期発見、油や薬品の漏えいなどを想定した緊急対応訓練を通じて、環境事故の未然防止に努めています。万が一環境事故が発生した際には、グループ内での迅速な情報共有および事例の水平展開により類似事案の再発防止に努めています。

環境法令および環境事故への対応

汚染の防止

大気汚染の防止

ボイラの燃焼温度や焼却炉の適切な管理を徹底することで、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)、ばいじんといった大気汚染物質を規制値を大きく下回るレベルまで低減しています。また、板紙やフィルムの印刷・加工工程において排出されるVOC(揮発性有機化合物)の削減にも注力しており、サプライヤーと連携し、低VOC溶剤やノンVOCインキへの切り替えを積極的に進めています。

水質汚濁の防止

加圧浮上や微生物分解、沈降分離などの浄化処理を行い、河川や下水道へ規制値以下の水質で排水を放流しています。厳しい自主基準を設け、定期的な測定を通じて管理を徹底しています。

土壌汚染の防止

有害物質を扱う施設を設置している事業所・工場では、設備や周辺床面の定期点検・保全を通じて、漏えいによる土壌汚染の防止に取り組んでいます。

化学物質の管理

PRTR法対象物質の排出量・移動量の削減

PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)に基づき、PRTR法対象物質の排出量・移動量を把握するとともに、製造工程で排出されるガスの洗浄設備を増強するなど、排出削減の取組みを進めています。

PCBへの対応

当社グループは、2020年度に高濃度PCB廃棄物の処理を完了しました。ただし、未発見の安定器が残っている可能性があるため、掘り起こし調査を継続しています。低濃度PCBを含む可能性がある機器は、廃棄前に分析調査を行い、適切に処理します。

アスベストへの対応

アスベストは保温材や建材などに使用されてきました。当社では、使用状況の調査を終了し、飛散性のあるものは除去または封じ込めを完了しています。非飛散性のアスベストについては、解体時に適切に処理できるよう、使用状況の把握を進めています。

廃棄物の削減

製造工程で発生する廃棄物(副産物)の再資源化や再生利用に取り組み、廃棄物の発生抑制と有効利用に努めています。外部に処理を委託する際も、可能な限りリサイクル可能な処理先を選定しています。

最終処分量と有効利用率(連結

最終処分量5,133トン、有効利用率98.6%

レンゴー単体および国内連結子会社の製造拠点

廃棄物の処理の流れ

工場から出た廃棄物の処理の流れ図