生産

レンゴーグループは、多くのエネルギーを利用し生産活動を行っています。エネルギー効率を高めることはエネルギーの安定供給の確保につながるだけではなく、気候変動問題への対応にもつながることから、当社グループはエネルギーを効率的に利用するため、徹底した省エネルギー活動を進めています。

温室効果ガス排出量の削減

当社グループの生産活動に伴い排出される温室効果ガスは、その大部分を化石エネルギー起源CO₂が占めています。
「エコチャレンジ2030」では、温室効果ガス排出量の削減目標として、2030年度までに生産拠点における化石エネルギー起源CO₂排出量を2013年度比で46%削減することを目指しています。また、当社グループは2023年1月に「Science Based Targets(以下SBT)」を認定する機関「SBTイニシアティブ(以下SBTi)」に対し、コミットメントレターを提出しました。これらの目標を達成するために、徹底した省エネルギー化とともに、石炭・重油ボイラの燃料転換、バイオマスボイラの新設、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入促進に取り組みます。
2022年度は、省エネルギー化によりエネルギー効率の向上を図り、化石エネルギー起源CO₂排出量は2013年度比で9.1%の削減となりました。2030年度の目標達成を確実なものとするため、活動計画に基づいた実践と改善を推進し、CO₂排出量削減の取組みを進めていきます。
※ パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標

PRTR法対象物質の排出量・移動量の推移

板紙・段ボール製品の製造におけるCO₂排出原単位の推移

当社における2013年度以降の温室効果ガス排出量削減の取組みの結果、2022年度の全社のCO₂排出原単位は板紙製品の製造において2013年度比で18%、段ボール製品の製造においては15%低下しています。今後は、顧客要望に応じて製品毎のCO₂排出原単位を開示できる体制を整え、顧客と協働で温室効果ガス削減の取組みを進めていきます。

PRTR法対象物質の排出量・移動量の推移

太陽光発電

当社グループでは、気候変動問題への対応とともに、エネルギー源の多様化、資源の有効利用の観点から、再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んでいます。2022年度における全エネルギー投入量に占める再生可能エネルギー利用率は18%となりました。
太陽光発電設備は、設置する地域や工場の特性を考慮して導入を進めています。当社グループ全体で20拠点に導入しており、2022年度には年間7,571千kWh(27TJ)を発電し、そのうち2,958千kWh(11TJ)を自家消費しました。
また、バイオマスボイラの燃料として、建設廃材由来の木質チップ、製紙工場で副生される黒液や製紙スラッジなどの廃棄物を有効活用しています。

  • 福島矢吹工場 太陽光パネル
    福島矢吹工場 太陽光発電設備

バイオマスボイラ

製紙工場ではバイオマスを利用できる設備を6基導入しており、2022年度は年間で5,070TJのバイオマスエネルギーを利用しました。2022年10月には当社利根川事業所に新たなバイオマスボイラが稼働し、半年間で1,928TJをバイオマスエネルギーに置き換え、約3万4千t-CO₂のCO₂排出量を削減しました。

  • レンゴー(株)利根川事業所のバイオマスボイラ
    利根川事業所バイオマスボイラ

水資源の効率的利用

  • 当社グループは、生産活動を行う上で必要な水を上水、工業用水、地下水、周辺の河川などから使用しており、2022年度の取水量は46,864千m3となりました。
    限りある水資源を大切に利用するために、特に水使用量の多い製紙工場では、水資源の有効活用が不可欠です。生産工程での排水を水処理設備で処理し、再利用することで取水量を減らす取組みに加え、全体の水使用量の削減を進めることで水資源の有効利用に努めています。
  • 再利用水処理設備
内部循環のフロー図

総取水量および取水源別比率

化学物質の管理

PRTR法対象物質の排出量・移動量の削減

当社のPRTR法(化学物質排出把握管理促進法)に基づく2022年度のPRTR法対象物質の排出量・移動量は、751tとなりました。生産量の増加などの要因により、前年より増加しましたが、武生工場では排ガス洗浄設備の増強をするなど、排出削減の取組みを進めています。

PRTR法対象物質の排出量・移動量の推移

VOC排出量の削減

当社グループでは、板紙やフィルムの印刷・加工工程でVOC(揮発性有機化合物)を含むインキや加工剤を使用しており、乾燥後にVOCが大気中に排出されます。VOC排出量を削減するため、サプライヤーとの協働により低VOC溶剤やノンVOCインキへの転換に取り組んだ結果、2022年度の排出量は3,472tとなりました。

VOC排出量の推移

大気汚染・水質汚濁防止への取組み

当社グループでは、ボイラの燃焼温度や焼却炉の排ガス処理設備を適切に管理することでNOxやSOx、ばいじんなどの大気汚染物質の排出量を規制値を下回るレベルまで低減しています。排水は加圧浮上、微生物分解、沈降分離などの浄化処理を行うことで規制値以下の水質を維持し、河川や下水道に放流しています。厳しい自主基準を設けて定期的な測定を行うことで、管理の徹底を図っています。

土壌汚染防止への取組み

当社の有害物質貯蔵指定施設および有害物質使用特定施設を設置している事業所・工場では、施設や周囲の床面などを定期的に点検・保全することで、漏えいなどによる土壌汚染を防止しています。

パッケージの軽量化

段ボール原紙の軽量化

当社では、2002年から原紙の軽量化に着手し軽量原紙や軽くて強度の高いLCC原紙(Less Caliper & Carbon Containerboard)を開発しました。「LCC120」と「LCCX90」はそれぞれ一般的な中しん原紙の160g/m2と120g/m2と同等の強度を保ち、さらに25%の軽量化を実現しています。

段ボールの基本浩造 軽量原紙の種類と坪量

段ボールの軽量化

デルタフルートによる軽量化、高機能化

段ボールは厚みに応じてさまざまな種類があり、当社は薄物化の普及に取り組んでいます。デルタフルートは厚さ2mmの当社オリジナル規格の段ボールで、外装箱としても内装箱としても使用できるため、段ボールの軽量化、高機能化を図ることができます。また、厚さ4mmのCフルートは厚さ5mmのAフルートと強度が同等でありながら容積が約20%減るため、Aフルートの代替として広く使用されています。

デルタフルートとCフルートの特長
Cフルート段ボールの推進

従来、日本で主流となっていた段ボールは厚さ5mmのAフルートですが、世界的には厚さ4mmのCフルート段ボールが主流となっています。わずか1mmの違いですが、中しんの消費量を削減できるとともに約20%減容化されるため輸送効率があがり、省資源、省エネルギーにつながり、ひいてはCO₂排出量の削減にも寄与します。レンゴーでは2005年から段ボール工場にCフルート生産設備を導入し、業界に先駆けて世界標準化への対応、省資源・省エネルギー型の段ボールの普及を推進しています。

Cフルート段ボールの特徴
これまでの取組み