包装資材から販促ツールへ
「売れる」を目指すパートナーとして

日本で唯一のプレプリント・デジタル印刷機を活用した「デジパケ」は、
企業の販促活動に貢献する新しいパッケージとして注目を集めています。
そんな「デジパケ」を用いて、どのようにお客様の課題を解決していくのか、
お菓子メーカー様のプロジェクトからご紹介します。

和田 かりの
デザイン・
マーケティングセンター
東京デザイン第二課
2007年入社

営業の販促活動をサポートするデザイナーとして従事。日々、市場のトレンドや消費者のニーズを追求しながら、パッケージデザインを手がける。

大木 信幸
前橋工場営業部
営業課
2009年入社

既存のお客様先へ日常的に訪問し、段ボールを中心とした包装資材のご提案を行う。このお菓子メーカー様と担当としてご縁があり、今回新たなご相談をいただいた。

伊藤 昇
開発営業第一部
開発営業第一課
2007年入社

デジパケの売り方支援や手配マニュアル作成など、技術的な観点から営業のフォローを行う。デジパケのメリットを周知させ、企画制作に携わった。

俵川 智行
東部営業業務部
プリプレス課
1992年入社

より美しい印刷を行うための調整役を担当。並行して段ボール工場で製造するためのマーク配置やレイアウト作成も行う。
 

熊谷 求
東部営業業務部
プリプレス課
1997年入社

デザインデータに対して、プレプリント・デジタル印刷機用に色彩の調整や、塗り足しを行う担当者。また一枚の紙の中にデザインを敷き詰める「割付」作業にも携わる。

「きれいに見せる」デザインづくりを

近年、小売業において人件費の高騰や人手不足が大きな課題として挙げられる一方で、メーカー側では、売上拡大に向けた売り場の販売促進や、効果的なプロモーションが求められている。こうした背景のもと、本来の什器や販促ツールに代わるものとして開発されたパッケージ製品が「デジパケ」だ。そんな「デジパケ」を、販促にお悩みのお菓子メーカー様に対し、解決策としてご提案したことからプロジェクトが始まった。

大木
私が元々、お菓子メーカー様の担当としてお付き合いをさせていただいていて、その中で販促に関するご相談をいただいたことがこのプロジェクトのきっかけです。従来から組立て式の棚や台、さらには吊り下げ式のハンガー什器などの販売什器を使われていたのですが、それらは小売店でセットする手間がかかることから、本当に使用されているのかわからないという問題がありました。それであれば、段ボールごと什器としてご利用いただける「デジパケ」の方が、販促にもつながるのではないかとご提案をしました。
伊藤
そもそも、「デジパケ」の開発や「プレプリント・デジタル印刷機」の導入の発端は、“見た目が美しい段ボールをつくろう”という発想にあります。イメージしやすい近しいものでいえばビールの箱でしょうか。やはり、きれいな箱であれば売り場で目立つので、消費者の目にも留まりやすく、購入にも至りやすいんですね。商品があってこその段ボールなので、肝心の商品が売れなければ私たちも困ってしまう。そうした考えから、販促効果の高い「デジパケ」が生まれたんです。
大木
今回のお菓子メーカー様の場合は、通年商品と季節限定商品についてご相談いただき、それぞれに対して効果的なデザインをご提案したことも特徴の一つです。また、従来の印刷と違い、デジタル印刷では、同じ原紙の中に複数のデザインを落とし込めるというメリットがあるので、それを最大限に活用しました。
和田
そうですね。具体的なデザインは私の方で担当させてもらいました。通年商品はコンセプトにあわせたデザインに、また季節限定商品は季節感を意識したデザインにするなど、お客様に自分ごと化していただけるようなデザインを目指して制作しました。
俵川
そして、デザインが固まった段階で、それが果たして本当にデジタル印刷機に適しているかどうかを私と熊谷さんの方で確認し、調整していました。また、一口にインクジェットでの印刷とは言ってもさまざまな印刷手段があるため、社内会議含めて最適なものを検討するのも私たちの仕事ですね。さらに、原紙上で箱を並べて印刷していくにあたり、割付と呼ばれるレイアウトの配置や機械で読み取るためのマークを付与する作業も行っていました。
熊谷
加えて、私の方では和田さんからデザインデータと色見本をいただいて、指定された印刷モードの中で、色見本通りの印刷をするための色調調整や製造できるようにするためデータを整える作業を行いました。

包装資材から、美しい販促ツールへ

「デジパケ」は、美粧性が高く小ロットでの製造が可能といったメリットがある一方で、通常の段ボールと比べると価格が上がることから、導入検討が長引くケースも多い。そうした現状の中、このお菓子メーカー様に対し、デジパケの付加価値や効果をどのように説明、アプローチすることで、最終的な採用に至ったのだろうか。

大木
お客様からすると、段ボールって所詮は包装資材なんですよね。つまり、リサイクルされるとはいえ使い切りの製品であり、中身がしっかりと守られてさえいればなるべく安い方がいい。しかし、それは包装資材としての見方です。一番のポイントは、その切り口を変えて販促ツールとして見ること。小売店で利用されているかどうかわからない什器に資金を投入するのであれば、箱そのものにお金をかけて販促ツールとして活用した方が、什器と違って設置されない心配もありませんし、有効的なのではないかとご説明しました。
伊藤
デジタル印刷機はその特性上、どうしても従来の資材と比較したときのコストの高さは避けられません。お客様の抱えていらっしゃる課題やニーズに対し、コストに見合った、もしくはそれ以上の付加価値をお伝えできるかどうかが最も重要ですし、難しい部分だと思います。
和田
大木さん、伊藤さんの言う通り、資材としての捉え方やコストの面をどうクリアしていくかが、「デジパケ」販売の鍵になると思いますね。また、お客様の中でも企画部や営業部にいらっしゃるような方々は、「デジパケ」に対して前向きな検討をしてくださる方も多いんです。しかしながら、資材部などの方々の場合、どうしても安全かつ安価なものを仕入れたいという考えがベースにあるので、その全員に対して納得のいく説明が必要となります。今回のお菓子メーカー様の場合は、その辺りも大木さんがスムーズに取り計らってくださったので、採用に至ったのだと思います。
大木
ありがとうございます。実は、今回のお菓子メーカー様の資材のご担当者様は、元々営業をされていた方だったんです。そのため、販促に対しての興味関心が高かったことも採用につながっていると思います。また、前向きに検討いただいている際に、他の部署の方々へのプレゼンの場も設けていただき、その場で実際にきれいなデザインを施した段ボールを見本としてご覧いただけたことも採用に至った理由の一つでしょうね。
伊藤
正式に受注確定後、印刷を進めていく際に、熊谷さん、俵川さんにもいろいろと調整いただきましたよね。
熊谷
そうですね、私の方では色の出し方に苦労した覚えがあります。色見本では鮮やかに映えるような赤色であったのに対し、デジタル印刷の特性によって、どうしても薄い色でしか再現できなかったんですね。その商品は赤色がキーカラーで、全体のバランスを見ていてもインパクトが足りなかったため、最終的には墨色を入れることで全体的な見栄えを色見本に近づけることはできたのですが、入れ加減の判断は非常に難しかったです。
俵川
デジタル印刷はインクの付着量が少ないため、濃度感を出しにくいんですよね。例えばフィルムであれば表面に光沢感があるので濃密感を出しやすく、濃い赤色もきれいに表現されるんですが、この白い段ボールはマットな質感なので印刷面が白っぽく見えてしまい、どうしてもそこが不利になってしまう。そこで、先ほど熊谷さんが言った通り墨を足していくのですが、その量に気をつけないと茶色や暗い色になってしまいます。今回は、絶妙な熊谷さんの調整のおかげで、美しい段ボールが完成しました。

段ボール箱という外側から、内側の商品包装まで

レンゴーで使用するデジタル印刷機は、元々アメリカから導入した機械ではあるが、そこには安定して高クオリティな「デジパケ」を供給するために、レンゴーの独自技術が導入されている。この機械の開発の成功は、創業から100年以上もの間に培ってきたレンゴーの技術力やノウハウ、さらには強固な組織体制によるものからだ。こうして生まれた「デジパケ」は、これから先も「売れる販促ツール」として、さまざまなお客様の課題を解決し続けていく。

和田
私がこのプロジェクトで学んだのは、営業さんの視点や販売の流れの作り方です。大木さんからのデザインに対する質問や、お客様に関する情報共有によって、「こういった進め方であれば進めやすいのではないか?」といった視点を養うことができました。
大木
片っ端からわからないことは質問していましたもんね(笑)。
和田
こちらとしては何がわからないのかが把握できたので、ありがたかったですよ。営業さん側で対応いただかなければならない作業があっても、把握すらできていない方もいたりするので、その場合はこちらから督促するなど対応方法を身につけることができました。また、今回は「デジパケ」を皮切りに、通常の段ボールや軟包装なども受注いただいています。こうした箱の外側から内側まで一括してお任せいただけるような販売の流れがつくれたことも、非常に勉強になりましたね。
伊藤
本当にそう思います。私もこの事例を通じて、「こういった売り方をすれば売れる」といった考え方のベースを築けたと実感しています。加えて、「デジパケ」の販促効果によってお客様の商品の売上が伸びたという結果を出せたことも自信につながりました。また、受注後にお菓子メーカー様より「営業が売りやすかった」「配荷率が上がった」とのお声をいただけたことも、非常に嬉しかったですね。
俵川
いいですね。私は日頃から複数の案件に携わっていますが、ここまで多くの部署の方々と関わりながら仕事を進めたことがなかったので、そうした意味でいい経験になりました。各部署でさまざまなことを同時進行で行いながら、未知の問題などを解決していく。そうした過程を経た結果、一つのパッケージとして形にできたことは、レンゴー全体に大きな価値をもたらしたのではないかと考えています。
熊谷
過程そのものが価値ということですよね。もちろんこのプロジェクトによるものだけではないとは思いますが、「デジパケ」の採用事例は、年々増加傾向にありますし、生産量が増えていくのは本当にありがたいことです。また、採用事例が増えることで、お客様の認知度も上がってきていることも間違いないと思います。
大木
みなさんありがとうございます。私は、新しい「デジパケ」という商材にチャレンジして、さまざまな方のご協力を得ながらプロジェクトとして完遂できたことに意義を感じています。また、和田さんも言っていましたが、単純に商材をご紹介するのではなく、色々な形でレンゴーの商品をご紹介しつつお客様の課題を解決することで、点ではなく、面として向き合える範囲が広がり、お客様とより深い関係性を築けることができたと実感しています。私たちの理想の形は、サプライヤーではなくパートナーですから、そこを目指して今後も「デジパケ」並びに包装資材を販売していきたいと思います。