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レンゴー環境経営講座

社会の変化⇔包装の変化
講師:レンゴー(株) 研究・技術開発部門技術開発本部 パッケージ・デザイン部長 木村 博行


1. 包装とは
2. 包装産業の現状
3. 社会の変化⇔包装の変化
4. 包装の課題

 

包装とは
JISによると、包装は物品の輸送・保管・取引・使用に当ってその価値と状態を維持するため適切な材料・容器などに収納する技術・状態であると定義されており、個装、内装、外装に大別できます。個装は商品を直接入れるものであり、消費者包装とも呼ばれ、缶・ビン・プラスチックボトル・フィルムなどが該当します。これらは最も商品に近い包装で、商品そのものであるといっても良いものです。内装は個装を取りまとめて流通段階で取り扱いを可能にするものであり、ギフト箱やシュリンクパック、マルチパックなども含まれます。外装は上記の包装を輸送できるようにしたものであり、輸送包装とも呼ばれ、段ボール・木箱・プラスチックコンテナなどがあります。また、包装の役割と求められる機能としては最も重要である保護性の他、作業性、利便性、経済性、商品性、衛生性、環境性があり、その中で、最近は衛生性、環境性が重要となっています。

 

講義風景画像

 

包装産業の現状
平成19年の包装・容器の出荷金額は約6兆2300億円であり、その中で紙・板紙が41%を占め、30%の占めるプラスチックが年々増加しており、反面、金属、ガラスは減少傾向にあります。一方、出荷数量は2084万トンですが、紙・板紙が61%を占めており、プラスチックは19%に過ぎません。また、平成15年からの推移をみると価格は年々上昇しているが、数量は平成17年に大きく減少しています。これは、平成16年に容器包装リサイクル法が改正され、各業界とも容器・包装の削減に取り組んだことが原因であると思われます。段ボールの需要分野について1960年からの変遷を見ると、電気・機械と繊維については割合が減少し、青果物も一時上昇したが、最近は減少傾向にあります。これは、生産拠点の海外移転や輸入の増加、生産者の減少が要因であると思われます。反面、加工食品が年々増加しており、これはビールの缶化率やPETボトル飲料の増加などが要因であると思われ、その他の分野においても最近は通信販売の普及により増加傾向にあります。包装産業における各分野の主要企業を見ると、段ボールはレンゴーグループと王子製紙、紙器・軟包装では大日本印刷と凸版印刷が双璧ですが、紙器・軟包装分野の3位にレンゴーグループが入っており、特に軟包装ではコンビニエンスストアで販売されるおにぎりやサンドイッチの包装では高いシェアを占めています。また、最近、大きな伸びを示しているPETボトルについては東洋製罐がトップであり、3位に日本山村硝子が入っています。これらはもともと缶やガラスメーカーでしたが、PETボトル分野に参入したものです。

 

講義風景画像

 

社会の変化⇔包装の変化
a)ビール
2007年のビール系飲料の市場規模は、出荷数量で約600万キロリットル、出荷金額では約2兆1千億円となっています。1960年代はビンの構成比が96.3%(大瓶だけで約80%)であったものが、缶の構成比は1990年代には45%、2000年代には約70%に上昇し、マルチパックでのまとめ買いも普及しています。この背景としては生活スペースの縮小、車の普及、飲用シーンの変化、および、小売業態の変化が考えられます。また、2000年代には消費者のアルコール離れが課題になり、新ジャンルのビール系飲料が登場し、パッケージを広告として訴求した独自のマーケティングも行われた時期もありました。

b)清涼飲料
2007年の清涼飲料水の規模は出荷数量で約2000万キロリットル、出荷金額で約3兆7千億円であり、近年はミネラルウォーターと茶系飲料の伸びが大きくなっています。1980年代には自販機が200万台を突破するとともに、自販機による缶コーヒーのホット&コールド販売が可能になったため、夏・冬の需要の平準化が計られました。1990年には500mlの小型PETボトルが販売されて以来、リシールが可能で持ち運びしやすいPETボトルが爆発的に増加するとともに、1999年のY2K問題がミネラルウォーターの需要拡大の契機となりました。2000年代になると商品では特保製品を含む高付加価値製品が拡大するとともに、包装では薄肉化や持ちやすさを考慮したPETボトル、茶殻入り段ボールに代表されるように環境やユニバーサルデザインに配慮した包装が登場しています。 

c)即席めん
2007年の市場規模は、出荷数量で約50億食、出荷金額では約5000億円となっています。1971年のカップヌードル登場以降、1980年代には袋麺の生産量を抜きました。1990年代には生タイプの麺が拡大するとともに、カップ焼そばにおいては湯切りが簡単にできる容器が登場しました。2000年代には、環境対応として日清食品がカップを繰り返し使用する商品やPSPから紙製容器に変更しています。
d)食用油
2007年度の市場規模は出荷数量で176万トン、出荷金額で3000億円(家庭用は1000億円)です。1980年代は精製度が高くなったことや料理の洋風化で急成長した時代であり、容器は一気に使い切る丸缶が主流でした。1990年代には健康の面から油を控える傾向に対して健康油が登場し、容器はリキャップ可能なPETボトルに移行しました。2000年代にはさらに健康・安全への関心が高まり、容器についても環境に配慮した容器としてスタンディングパウチが登場しています。

e)野菜
現在の野菜の市場規模は約2兆円ですが、キャベツを代表にとると、消費量の減少、作付面積の減少により、1982年以降減少が続いています。1980年代は冷蔵庫に野菜室がついた時代であり、野菜の鮮度に関心が高まったことから、包装においても鮮度保持包装が注目されるようになりました。1990年代には有機野菜がブームになるとともに、単身世帯・女性の就業率の増加によりカット野菜の販売が伸び、それに伴って包装もガス置換によるMA包装により鮮度保持技術が向上しました。2000年代には生産者の高齢化に伴う包装作業を簡便化するため、段ボール箱においてステープルを使わないノンステープル段ボールが登場し普及しました。

f)コンビニエンスストア(CVS)
1974年にセブンイレブンが1号店を出店して以来、現在はCVS全体で44,000店、売上で約7兆8千億円の規模に成長しています。1980年にはおにぎりの包装において食べる直前に海苔を簡単に巻くことができる画期的な包装が登場し、一気におにぎりの売上が増加し、現在では年間12億5千万個を売り上げるヒット商品となっています。1990年代には女性の就業率の増加や人口の都市集中、生活の24時間化に伴い、CVSが完全に定着しました。CVSはPOSによる徹底した商品管理を行なうとともに、店の規模が小さいため、在庫をほとんど持ちません。そのため、必要最小ロットを配送することができるよう、段ボール箱において小分け包装が普及しました。1990年代にはCVS独自のプライベートブランド(PB)の開発が盛んになり、現在では、セブンイレブンでは約50%がPB商品になっています。また、2000年代にはチルドデザートが人気となり、あらゆるチェーンが独自ブランドの開発にしのぎを削っています。

g)通信販売
通信販売(通販)は近年急速に増加しており、2007年の市場規模は約5兆円です。カタログ販売が最も多いですが、インターネット販売も急増しており、約2兆円に達する見込みです。また、高齢者の比率も増加傾向にあります。1980年代には宅配便の普及により通販市場が成長した時代であり、1990年代にはパソコンが普及したことによりインターネット通販が急成長しました。2000年代は「お取り寄せ」、「産直品」のブームよりさらに急成長しています。通販用に使用されている段ボール箱をみると、従来は一般的な箱が多かったのですが、最近では環境配慮からテープを使わない、または、寸法可変式タイプの段ボール箱も登場しています。

 

包装の課題
a)ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとはアメリカのロン・メイス博士が提唱した理論で、設計の段階からできるだけ多くの人が簡単に利用できるように配慮することを基本概念としています。 一般の製品は人間の成長期から壮年期を対象としていますが、ユニバーサルデザイン商品は基礎体力や五感能力が低い幼児期・老年期の人も使いやすい設計を施しています。これらの概念はヨーロッパでも提唱されており、日本でも公的機関での取組みが行われ、JISでもこれらを配慮した指針が規格化されています。包装においては紙器・パウチ・ビン・缶・プラスチックボトル・ブリスターなど主に消費者包装において、開けやすさ、表示の分かりやすさ、廃棄のしやすさを考慮した様々な製品が開発され、使用されるようになっています。

b)環境問題
包装の分野においても環境は大きな問題となっており、環境に配慮した材料・設計が重要となっています。具体的には2006年に改正された包装容器リサイクル法において、各容器・包装を製造する業界団体が3R(リデュース・リユース・リサイクル)について2010年までに自主目標を設定しています。段ボールをみると、リデュースにおいて2004年の平均坪量は1990年に対して3.5%削減されており、リサイクルについては98%のリサイクル率を示しており、リサイクルに関しては最も高い数値を示しています。また、近年は環境負荷物質としてCO2の削減が叫ばれていますが、その中で製品やサービスのライフサイクルを通した環境への影響を評価する手法であるLCAを使用して原料から廃棄にいたるまでのCO2排出量をラベルで表示して消費者に「見える化」するカーボンフットプリントが注目されています。これは、イギリスをはじめ欧米や韓国において既に試行されているものですが、日本でも一部の商品に来年より表示される予定であり、また、その算出基準の規格についても本格的に検討する予定になっています。