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戦略と経営のリーダーシップ

質疑応答


Q1:
段ボールという商品を差別化するためにどのようなことを心がけているでしょうか。

A1:
 段ボールは、最も単純な構造のものは3枚の紙からできています。真ん中の中しん原紙、両サイドにあるライナをどれくらいの重量があるものにするのか。また糊も含め、どのような強度となるのかを絶えず研究しています。中でも、現在レンゴーが推進しているのは、“軽薄炭少”とキャッチコピーをつけて取り組んでいる、軽く、薄く、CO2発生がより少ないパッケージの研究であり、できるかぎりコスト減、省エネ・省資源にもつながる製品づくりを絶えず心がけています。
 段ボールはなぜ3枚の紙で強度が出るのでしょうか。強度を出すにあたり最も重要な要素は、中しんが形成する三角形が連なる波です。このビルもそうですし、建築や鉄橋なども三角形の構造体で造られています。三角形の構造が一番強いのです。この段ボールにおける三角形の形状、角度についても絶えず研究しているのです。
 また、物を輸送する時に使用されるパッケージにはさまざまな形態があります。まず、ひとつひとつの商品を包む個包装。これを1ダースぐらい集合させた中箱があり、さらにこれらを守る外装箱が段ボールとなります。レンゴーはそれら全てを事業として行っています。例えば、皆さんがコンビニでおにぎりを買うと、三角形のフィルム包装に包まれており、それをはずすと海苔がお米にうまく付くようになっているパッケージや、サンドイッチのフィルム包装をご存じと思いますが、これらもレンゴーグループ製で、当社の子会社がパテントを保有しています。
 このような個包装から外装の段ボールに至るまでを事業として行っており、これら包装の全てを提供できることがレンゴーのヘキサゴン(六角形)経営なのです。
 もともとレンゴーは、段ボール事業からスタートしました。次に段ボールの原料となる製紙事業へ参入し、さらに中に入るものをということで進めていったのが、印刷紙器事業や軟包装事業です。また箱ばかりではなく、粉などを包む袋などの重包装事業。そして海外事業を加え、現在これら6つの事業を中心としたヘキサゴン経営を行っています。

 

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Q2:
政策を個別に出し過ぎているのが国の問題とおっしゃられましたが、国の政策のレベルでも強いリーダーが総合的な目で青写真を描いてから各部門が政策を実施していくほうが望ましいという理解でよろしいでしょうか。

A2:
 まさしくそうです。例えば、エネルギー政策、環境政策、経済成長戦略をそれぞれ別々にやっていたのでは駄目です。やはり強いリーダーシップを持った人間がトップについて、そこへ情報を集め、その指示に基づいて、一斉に動くことが重要と思います。
 具体的に申しあげると、今、国で一番足りないのは財政政策と金融政策を同時に進めることではないでしょうか。しかしながら、財政政策はほとんど動いていない状態です。金融政策についても、日本銀行がいろいろと政策を行っていますが不十分だと思います。更なるリーダーシップが非常に重要です。
 30年ほど前に当時の前川日銀総裁が「奴雁」という言葉を使われました。「奴雁」の「奴」は「ど」、「雁」は「がん」、英語でgooseです。雁とは渡り鳥ですから、群れを組んで渡っています。途中で皆が田んぼに降りて休んでいる時でも1羽だけ別の木の上に止まったり飛び続けたりし、周りを見渡し、見張っているリーダー的な雁が1羽いて、これを奴雁というのです。
 「日銀は奴雁の役割を果たすべし」と前川さんは述べられたのです。もともとは福沢諭吉の言葉であり、明治維新の日本に必要なものは奴雁だということでこの言葉を作り、それを前川さんが引き継いだものです。この言葉に象徴されるようにリーダーシップが非常に重要なのです。

 

Q3:
社員教育等で重要視されていることと、これから社会に求められていく人材とはどういう人なのかを教えていただきたいと思います。

A3:
 社員教育にあたって、私が考える基本は、製造業は「現場にこそ真理がある」ということです。書物を読んで知識を習得するのもよいですが、まず現場を本当の意味で修得して欲しいと社内で言い続けています。現場の在り方をまず基本として習得して欲しいと思っています。
 そして現場における考え方の原点が「6S」、すなわち「整理、整頓、清潔、清掃、躾、作法」という6つの言葉です。「整理、整頓」を徹底することで会社が購入する資材やできあがった製品の在庫数量などただちに分かり、効率的なマネジメントができることになります。「清潔、清掃」に気をつけていれば、製造業におけるものづくりで一番重要な安全と災害を起こさないことにつながります。そして「躾、作法」は社員教育の原点です。
 また、私は自立と自律、自助と共助という言葉もよく使います。自分で立ち、自らを律していただきたいと思います。

 

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Q4:
地代が高い、電気料金が高い、法人税が高いということで、製造業は工場を海外に建てるというのが現状の流れだと思うのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

A4:
 メディアでは、原発が止まれば電力が足りなくなり、価格も上昇するので海外に出て行く、あるいは、資源がないから海外で手当てするということを喧伝されていますが、私は日本企業である限り、日本でいかに成長するかを考えるのが第一であり、その後にマーケットのことを考えて海外へ出て行くことがよいのではと考えます。
 レンゴーは、グループ会社を含めると国内に162カ所、海外には、中国、東南アジアを中心に40カ所の工場があり、現在は、名古屋地区に新工場を建設中で、海外でも新たな工場建設を計画しています。
 工場を建てるのは、その地域に段ボールのマーケットがあるからです。従来の日本企業の進出は、現地にマーケットがあるからではなく、そこに製造拠点を作り、出来上がったものを日本へ持ってこようとしていたのです。そうではなく、日本で必要なものは日本で作り、海外にマーケットがある場合には海外に工場を作るというように、バランスを考えながら進めていかなければならないと思います。
 ようやく日本の企業経営者もそのことに気がついてきたのではないでしょうか。日本で必要な商品はできるだけ日本で作ろうという企業もでてきています。

 

Q5:
将来的に日本にもマーケットが開拓されるということですが、高齢化で人口が減少していくという背景もあると思いますがどうお考えでしょうか。

A5:
 高齢化という問題については、これまでもメディアをはじめ皆さんも騒ぎ過ぎの面があるかと思います。1億2700万人の人口が、実際にわずかずつながら減りつつあるわけですが、これが8000万人台になるのはまだ何十年以上も先のことではないでしょうか。だからそんなに早く人口減少と大げさにいう必要はないと思います。
 レンゴーでは、当社独自の少子化対策として、3人目以上の子どもができた場合にはお祝い金として100万円を出す制度があります。2008年にこの制度を導入して以降、3人以上のお子さんを持つ社員が大幅に増えています。やはりこのようなインセンティブがあれば、子どもを増やそうということにつながるのではないでしょうか。