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戦略と経営のリーダーシップ

戦略と経営のリーダーシップ
講師:レンゴー株式会社 代表取締役社長 大坪 清


1. はじめに
2. 新仙台工場建設の取組み
3. 日本が行うべき政策
4. 5S

 

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1.はじめに
 私がレンゴーの社長に就任してから約13年がたちます。一部上場企業の社長の在任期間は一般的に4~6年ぐらいですが、今の日本の経済情勢においてはプラスになっているとは思えません。経営者には継続性の原則があり、引き受けた組織の目途が立つまでは責任を持って経営を行うべきだと私は思っており、その結果です。もちろん世代交代はどうなっているのかというご意見もありますが、それについてはきちんと人材教育を行っているというのが私からの答えです。

 

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2.新仙台工場建設の取組み
 昨年3月11日に起こった東日本大震災によって、レンゴーの仙台工場は地震と津波で完全に破壊されました。しかし、震災後すぐに、同じ宮城県内の黒川郡大和町に新工場を建設することを社内で決定し、震災から1年後の今年3月15日に起動式を執り行い新工場をスタートさせることができました。
 工場建設に着手するまでにはさまざまな確認申請などが必要であり、実際に着工できたのは昨年7月です。全社で一丸となり取り組んだことで、実質約9カ月という非常に短期間で新工場を完成させることができました。

 本日、皆さんにお伝えしたいのは、この新工場建設の経験から学んだ、今の日本に本当に必要なことや、総合力ということについてです。
 新仙台工場の建設は、現地の雇用を守りながら、一方で新エネルギーへの対応という点でも、太陽光パネル・蓄電設備の導入など、環境への配慮を強化しています。当社では、段ボールのもととなる段ボール原紙の原料の98%はリサイクルした古紙を使用していますが、さらに、従来のものより軽量化した原紙を開発し、段ボールの省資源化にも取り組んでいます。
 そして、この新工場には「一心の塔」と名付けたモニュメントを設置しました。この名は、戦国時代毛利元就が居城としていた吉田郡山城築城の際、人柱の代わりに埋めた石碑に書かれていた「百万一心」に由来します。「百万一心」は、「百」という字が「一日」、「万」という字が「一力」とも読めるのです。一日、一力、一心ということで、大震災で大きな被害を受けたレンゴーがまさしく必要としている言葉です。全員がわずかずつでも力を出し合いながら、一丸となって、被災からの復興、再生へと心をひとつにして取り組んだ絆と未来への決意を込め、また震災で亡くなられた方々の鎮魂とともにモニュメントとしたものです。

 当社のこの工場復興の取組みにおいては、国の政策としても参考となるような政策を実践できたのではないかと自負しています。
 それは、成長戦略・経済政策に、環境対策、エネルギー対策、省資源対策の4つです。
 これら4つの政策をレンゴーは、新仙台工場建設や普段の経営からきちんと進め、総合的に取り組んだのです。現在の日本にとって必要なのは、これらの政策を総合的に実行することです。なぜ日本は総合力を発揮し、総合的に動けるような政策を出せないのか。これが日本経済に停滞感を感じさせる最大の要因ではないでしょうか。

 

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3. 日本が行うべき政策
 国における成長戦略・経済政策の基本は、雇用の創出です。アダム・スミスは「An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations/国富論」を「Division of Labor/分業論」から述べています。そして競争政策について述べ、有名な「invisible hand 見えざる手」につながります。その考え方の基本は、市場経済は完全雇用が大原則であるということで、全員が働いて生み出した「labor value 労働の価値」をお互いに競争し合い、そこで初めて競争の原理ができるということです。
 まずは、雇用を確保し、労働価値を向上させなければなりません。働くという字はにんべんに動くと書きます。つまり「人が動く」ということです。人が動くと同時に、働くというのは、「はたを楽にさせる」、皆を楽にさせるという意味も持つのです。自身が動いて財貨をつくり出すと同時に、周りの人にも楽になってもらうということが「働く」ということではないでしょうか。
 そして環境対策については、世界で発生させている1年間のCO2の量は約290億トンであり、そのうちの約22%が中国、約20%がアメリカ、日本はわずか4%です。この数字からみると日本の環境対策は国全体としては非常によくできているといえるのではないでしょうか。
 次に重要なものは、エネルギー対策と省資源対策です。このなかには、原発の問題も出てきます。原発を今すぐやめるわけにはいかない状況です。使用済み廃棄燃料の問題も含め、英知を絞らねばなりません。

皆さんのような優秀な若い方々が活躍していただければ、やがて、日本は再び世界をリードする国に復活すると思っておりますので、ぜひ皆さんに頑張っていただきたいと思います。


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4. 5S
 皆さんに今後、頑張っていただくにあたり、私から5つの英語の言葉をご紹介したいと思います。
 まず、物事をあまり複雑にしてはいけないということから「Simplicity」。スピード感を持って物事を処理するという「Speed」。物事を進めるにあたって自分なりの自信を持って欲しいという「Self-confidence」。事細かな心の動きを持って欲しいというところから「Sentiment」。最後に、相手に対する同情心、日本語で「惻隠の情」というべきものを持っていただきたい「Sympathy」です。これら、「Simplicity、Speed、Self-confidence、Sentiment、Sympathy」の5つのSを心がけて、勉強や、さまざまな面で励んでいただきたいと思います。