環境・社会 / 関西起業塾-切り拓け 日本の未来

関西起業塾-切り拓け 日本の未来

質疑応答


Q1:
関西経済連合会(以下、関経連)の副会長ということで、大坪さんがもし会長になられた場合に、何かこういうことをやってみたいということを具体的に教えてください。

A1:
 関経連の会長になるつもりはありません(笑)。それを前提に申しあげれば、今現在、関西で課題としているのが道州制です。大阪市の橋下市長などがいろいろとやっていますが、道州制に対する取組み方の前提に、どうもすっきりしないものを感じています。地域主権、地域分権について、これを本当に進めて成功しつつある国はイギリスです。イギリスで「devolution」という表現でやっているのが地域分権ということです。
 ご存じのように、イギリスは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から構成されています。サッカーのユニフォームも4つともデザインが違います。これは分権ができているということです。こういうことをもっと見習っていくべきではないかと思います。地域でいかに経済を活性化させていくか。これが関経連の大きな役割だと思います。
 もう1つは、本社を関西から東京に移さないということです。関経連の会合でも「本社を関西へ戻しなさい」といつも言っています。

 

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Q2:
将来の道州制を見据え、東北州に向けた取組みを村井知事などもされていますが、わたくしは東北が道州制になれば衰退するのではないかと思っています。しかし、東北の人というのは着実に物事を進める我慢強い粘り強さを持っており、何とか生かす方法がないかと考えています。将来の東北について、どういう道筋を立てればよいかご意見をお願いします。

A2:
 今回の大震災をきっかけに、福島、宮城、岩手、青森、秋田、山形など東北の各地域は、本当の意味でのお互いのコミュニケーションがとれたのではないかと思っています。どなたかがリーダーシップを発揮し、東北地区を1つの地域として、それが道州制という表現がいいのかどうかは別にして、地域主権の1つのグループとなればよいのかなと思います。

 

Q3:
もし、起業されるとすればどのようなことをされるかお聞かせください。

A3:
 レンゴーという会社は、創業以来103年で5人しか社長が出ていません。井上貞治郎が創業した後、実際に社長を継いだのは4人です。わたくしは社長業が13年目になりますが、一部上場会社でこれだけ長くやっている社長は珍しいと思います。起業という言葉が出ましたが、わたくしはオーナーシップを持って企業経営をしているつもりです。いわば起業家精神を今のレンゴーの経営に盛り込んでいるわけです。
 レンゴーの経営自体が、あなたの言う起業家精神であろうと思いますので、レンゴーの状況を分析していただければ、起業家としてのわたくしを理解していただく答えになると思います。

 

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Q4:
有意義な時間の使い方というのは個人個人で異なるものだと思いますが、学生や若い人にとって「これだけはしておきなさい」、「こういうことを意識して日々を過ごすと、後にすごく有意義な人生を送れるのではないか」ということを、アドバイスを含めてお教えいただけないでしょうか。

A4:
 これはわたくしのライフスタイルを参考にしていただければよいと思いますが、わたくしはお酒も好きでよく飲みます。しかし、飲む時間は、例えば夜6時から9時の間です。そしてどんなに飲んでも、朝は4時か5時に起きて、大体8時前には会社に出ています。一部上場会社の社長が8時前に出社して、誰よりも早く席に座っていることを意外に感じられる方もおられるかもしれませんが、わたくしはそのようなけじめ、自分のライフスタイルをどんなことがあってもできるだけ守り通しています。従業員から入ってくるメールには、毎朝家から5時に返信します。そうするとそのメールを受け取った従業員は、「社長は5時から仕事をしているのか。自分も負けずに仕事をしないといけないな」と考え、そのような輪が広がっていくと思っています。一種のけじめをつけたライフスタイルをつくっていただく、だらだらした生活ではなく、けじめをつけた生活が大事だと思います。
 もう1つは、時間をみつけ何らかの学びをする。学びの努力ということを心がけていただきたいと思います。また、日本語以外の語学を1つでも2つでもマスターして欲しいと思います。

 

Q5:
レンゴーの業務内容をみると、段ボールと包装関係に限られています。一般的に会社が大きくなると多角的にいろいろな分野に羽を広げる、手を伸ばすところがあるかと思うのですが、包装関係一本に絞られていることについてのお考えをお伺いしたい。
また、御社の中で、オフィス業務のIT化で、何か先進的に取り組まれていることがあれば教えていただきたい。

A5:
 レンゴーという会社は段ボールからスタートしたわけですが、段ボールからスタートし、段ボールに使われるのは紙であるということで、製紙業そのものを手がけるべく製紙会社も系列化するなどして、製紙から段ボールの一貫化を果たしました。さらに物流の中で、一番外側の包装、パッケージが段ボールになりますが、その中に詰まっているパッケージとして、紙器の箱があり、また個包装として軟包装があります。いろいろな包装形態がある中で、一番外側だけでなく、内側もしっかりやっていこうではないかということで、パッケージの総合化に取り組み、現在はゼネラル・パッケージング・インダストリー、すなわち総合包装企業ということで多角化を進めています。
 ヘキサゴン(六角形)経営と称し、製紙、段ボール、紙器、軟包装、重包装、それから海外という6つのコア・コンピタンスを基軸事業として掲げています。わたくしは、コア・コンピタンスはこの6つと考えており、今後ともこの6つのアイテムを中心にやっていこうと思っています。
 IT化ということについては、2つの側面があります。1つは、いわゆる事務処理・経理処理ということで、これはどこの企業でもIT化をどんどん進めていると思いますが、同時に生産システムのIT化をどんどん進めていこうと思っています。その中身については企業秘密ですが(笑)、いろいろな取組みが進行中ということだけをお話しておきます。

 

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Q6:
「たゆみないイノベーションとパッケージングの新たな価値」ということで、たゆみないイノベーションが大事だと思うのですが、東北地方には19兆円という復興予算がくるということを大事にしながら、これまでわが国でできていなかったイノベーションを国もいろいろとやらなければいけないと思っています。しかしながら、2年間という期限も設けられており、とにかく復興しなければいけないという側面があり、今はものすごい勢いでどんどん進んでいってしまうので、イノベーションの一方で、復興しなければいけないというジレンマがあるような気がします。
そのような中でのイノベーションということについて、大坪社長のお考えをお聞かせいただければ。

A6:
 イノベーションということでは、改革・改善をしなければなりません。同時に、日本は長い伝統の上に立っている国ですから、残すべき良いものとの両面があると思います。「温故知新」という言葉があります。「故きを温ねて新しきを知る」ということで、故きを温ねた時に、これは捨てたほうがいいということはイノベーションでカバーし、絶対残すべきだというものは残さなければいけない。そのような判断が必要だということです。
 しかし、日本を本当に復活させるためには、さきほど述べたように、財政と金融の出動、それもスピード、加速度をつけた動きが必要だと思います。
シュンペーターは「破壊」と「創造」という言葉を使っていますが、彼は当初イノベーションという言葉を使っていませんでした。不況やリセッション、デプレッションの時こそ経済発展のチャンスだと言っており、そこでイノベーションが起こるだろうということです。
 では、イノベーションとは具体的には何か。1つは新しい商品を開発することや新しい生産システムを開発するというのが1つの要素です。新しいロジスティクスを開発する、新しい原料調達の方法を考えていく、新しい人事政策、新しいシステムをつくっていく。これらがイノベーションの具体策です。このように単なる技術開発だけでなく、広範囲な分野でイノベーションの具体的な方策があるとシュンペーターは言っており、私はこれに大賛成です。破壊と創造、「温故知新」の中で故きを温ねた時に、必要ないと思われるものについては捨てていき、そして創造のためにはイノベーションの具体策をつくっていくことが必要なのではないでしょうか。