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先端教養科目・関西は今

質疑応答


Q1:
東京に本社を置くほうが企業としては便利だと思いますが、なぜ大阪に本社を置いているのでしょうか。

A1:
 関西に本社を置いていた多くの会社が、東京へ本社を移してきましたが、私は本社を東京へ移してはいけないと言い続けています。なぜなら日本の国全体を発展させるためには、一極集中ではなく、各会社の本社は分散していたほうが良いと思うからです。政治についても、東京一極集中よりも、地方分権、極端なことを言えば地方主権に移していったほうが良いと思います。道州制が検討されていますが、日本全体をバランスよく発展させることが、本当の意味での日本の発展につながるでしょう。現在の東京一極集中には反対というのが私の考えです。
 東京が便利であることは事実であり、東京で行なわれる会合も多いですが、社長の私が東京へ出張すれば全て解決します。これだけ交通機関が発達していれば何の問題もなく、私は絶えず東京~大阪間を行ったり来たりしているのが現状です。

 

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Q2:
もう一度限界利益の説明をお願いします。

A2:
 モノを作って売ることで、売上高が発生しますが、そこには変動費などがかかっています。変動費とは、モノを作るのに必要な原材料にかかる費用です。例えば本をつくる場合、紙やインク、のりなどの材料が必要です。10冊の本を作る時は10冊分、20冊であれば20冊分の材料が必要です。このように売上に比例して変動する費用が変動費で、売上からこの変動費を引いたものが限界利益です。
 一方、固定費は売上の増減には関係しません。例えば、固定費のひとつに人件費がありますが、100人の従業員がいる会社は、日々の売上高や生産数量が多少増減しても、その度に人数を入れ替えることにはなりません。また、我々が起きている時も、寝ている時も常に固定的に発生する費用もあります。モノを製造するための機械など、長期の使用年数に伴って徐々に劣化、消耗していくものについては、その減価分を定められた期間内に少しずつ償却してよいということになっています。これが減価償却であり、これも固定費に含まれます。
 ここで問題となるのは、たくさんの量を作って限界利益を増やし、固定費をカバーして利益を出そうという考えです。皆が同じように考え、増産に走るとモノがあふれるばかりで、期待する限界利益は出ず、結果として市場では安売り合戦が起きてしまいます。それを避けるため、私はフルコストという表現で、利益に対する考え方を変えるよう提言しています。

 

Q3:
先ほど、経済の根底にあるものとして、5つ(morality【道徳】、ethics【倫理】、philosophy【哲学】、sentiment【感情】、sympathy【共感】)を挙げていただきましたが、それらを実践するためにレンゴーで具体的に行われていることをお教えください。

A3:
 この5つの要素に関連して、私は“noblesse oblige”という言葉をよく使います。これは中世ヨーロッパの思想で、強い者や身分が高い人こそ、犠牲を払ってでも一つの秩序を保つような努力をしなければならないということを意味します。
 経済活動において “noblesse oblige”を発揮するには、これら5つの要素が欠かせません。レンゴーは、業界でシェアトップの会社であり、その地位を利用し突き進むことも可能かもしれません。しかし、自社だけを考えるのではなく、業界に属する全企業の従業員の生活についても考える。社内では、従業員に範を示せるよう努力をしなさいと伝えています。周囲の関係先、あるいは同業者に「レンゴーはそこまで考えてやってくれるのか」と分かってもらい、結果として業界全体の地位を保つ。このような秩序を支えているのが、道徳や倫理、哲学、感情、共感であり、その先にある“noblesse oblige”という概念がレンゴーが心がけていることです。

 

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Q4:
日本の自給率の低さを考えると、今後、食料が不足してしまうかもしれないと感じていますが、日本はこの先どうあるべきでしょうか。

A4: 
 全国の農業協同組合などを組織するJA全農という団体がありますが、この団体は日本の農業のなかで大きな地位を占めています。その団体の中で、私はJA包装園芸資材協会の会長の任にもあたっており、農業問題については注意深く着目しています。青果物など農産物は段ボールで包装されており、また耐水性のある段ボールで、漁業などの水産業にも対応し、サンマやイワシなども段ボールに入れて運ぶことができるのです。
 さて、日本で将来、食料が不足するのではないかというご質問ですが、現在の日本の食物の自給率というのは約40%と低く、残りは全て輸入しているということが実情です。そこで、農業や水産業においても、各国と自由に取引できる関係を作らなければならないということで、TPP(Trans-Pacific Partnership)に注目が集まっていることはご存じかと思います。その議論の中でTPPに加盟すれば日本の農業が衰退すると危惧する声もありますが、決して日本の農業が潰れることはないと思います。国際分業という言葉があるように、得意とする農産物は自国で作り、余った分は輸出する。そして不得意なものは外国から輸入する。そうすることで日本の農業が世界の一員として機能するビジネスモデルを築きあげ、乗り越えていくのではないかと思っています。

 

Q5:
現在、段ボールの生産量が世界一であるのは中国との資料をいただきましたが、今後ますます発展が見込まれる中国の市場に対してどのような戦略を立てておられますか。あるいはどのようなかたちで中国の会社と連携し発展していくことをお考えでしょうか。

A5:
 実は2001年頃までは、中国よりも日本のほうが段ボールの生産量が多かったのです。ところが、2002年に日本を追い抜き、今では日本の段ボールの総生産量の4倍ほどの規模となり生産量世界一となっています。
 その中国で、レンゴーは、1991年に初めて北京に工場を作り、次に大連、そして天津、青島、上海、無錫、中山、広東に出て、現在計8カ所に事業を拡大してまいりました。今度は、鴻興という会社への資本参加を決めました。これに留まらず、海外では引続き中国をひとつの中心として事業を広げていこうと考えています。中国以外では、東南アジア、米国において14工場3拠点を展開していますが、これから先、伸びる国はインドということで、インドマーケットを開発しようと現在スタートさせているところです。

 

Q6:
今おっしゃった国は全て発展途上国ですが、やはり発展途上国では技術の面で劣ってくるのではないかと思います。現地で安い賃金で雇っているスタッフに日本の技術を教えるようなことはお考えでしょうか。

A6:
 例えば大手家電メーカーは、現地の安い賃金を使って、そこで生産した商品を海外あるいは日本に輸出しています。固定費が現地では安いため、限界利益さえ出れば利益が出るという考え方でそのようにされているのだと思います。しかし、当社にとって現地は、単なる生産拠点ではなく、マーケットとしての位置づけがあります。中国で作った段ボールは全て中国国内で使うためのものです。中国国内で作った原紙は全て国内で使い、タイで作った段ボールはタイ国内で、ベトナムで作った段ボールはベトナム国内で使う現地対応型の事業を行っています。このため、現地の安い賃金を利用し製品を日本へ輸出する、あるいは米国へ輸出するということではなく、当社の事業はローカリゼーションと言って、現地に合った体制を敷いているのです。