環境・社会 / 社会科学の実践

社会科学の実践

職業と学び-キャリアデザインを考える
講師:レンゴー株式会社 代表取締役会長兼社長 大坪 清

神戸大学 凌霜会・六甲台後援会 寄附講義「社会科学の実践」
2017年1月27日(金)於:神戸大学



講義風景画像

 皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました大坪です。
 私は昭和37年に神戸大学経済学部を卒業し、住友商事に入社しました。住友商事ではいろいろな仕事に携わってきましたが、住友商事の取締役副社長、欧州住友商事会社の会長兼社長を務めていた2000年に、レンゴーからの要請を受けて社長に就任し、17年目を迎えました。

 レンゴーは一部上場企業であり、日本の板紙・段ボール業界では最大の企業の一つです。一部上場企業で17年間も社長を続けているのは、非常にレアなケースだと思います。日本では、4年から長くて8年で社長が交代しています。なぜ17年間も社長を続けているかということは、後ほどお話したいと思います。

 私は昭和33年の神戸大学入学当初から、将来の自分の職業をある程度意識していました。勉強はほとんどしませんでしたが、そういう方向で自分の意志を持ちながら、大学生活を送ってきました。
 神戸大学ではバレーボール部に所属していましたが、日本の学校で初めてバレーボールを取り入れ、専門のチームを結成したのは神戸大学(当時の神戸高等商業学校)なのです。勉強もさることながら、4年間の学生生活のなかで、自分が伸ばすべきもの、趣味嗜好を考えることも大切です。
 大学卒業後もずっと研究を続けていく方もいるかもしれませんが、就職を選択するということであれば、学びも大切ですが、それ以外の自分なりの趣味嗜好を持つ必要があります。私にとって、その一つがバレーボールでした。
 私は2年生の後半にバレーボール部のキャプテンになりました。入部した当初は5部制の4部でしたが、私が卒業する時には1部に昇格していました。そこまでバレーボール部を強くしたことが、私の神戸大学での誇りです。学びで誇りを持つことも大切ですが、学び以外のところでも、努力することで神戸大学を有名にすることができたと自負しています。

 先ほど申しあげたとおり、私はレンゴーの社長を17年間務めていますが、それ以外にも経済界や業界団体の役職にも就いています。その一つが、関西生産性本部の会長で、これも10年間続けています。皆さんも、生産性の向上とは何かということについても、考えていくべき時期にきているのではないでしょうか。関西生産性本部では、神戸大学の先生方、神戸大学OBの方々にも、メンバーとして活躍いただいています。

 それから、関西経済連合会の副会長も8年間続けています。私が神戸大学出身であるということで、関西経済界においても神戸大学をPRしています。
 そのほかにも、太平洋人材交流センター(PREX)の会長も3年目になりました。そこでは、アジアを中心とした中進国、発展途上国の人材育成のために、JICA(国際協力機構:Japan International Cooperation Agency)のODA(Official Development Assistance)資金を利用した支援活動を行っています。

 

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 このように財界活動にも取り組んでいますが、私の本職はレンゴーの社長ですから、レンゴーグループの約15,000人の従業員の生活を、本当の意味でバックアップ、豊かな生活ができるようにしていく、ということを絶えず考えています。
 業界活動もその一つであり、例えば全国段ボール工業組合連合会の理事長、西日本段ボール工業組合の理事長、日本製紙連合会の副会長、JA包装園芸資材協会の会長といった役職も務めています。神戸大学のOB会である凌霜会の理事長も昨年引き受けたところです。

 さて、私が会長兼社長を務めるレンゴーはどのような会社なのかということについて、英語で作成した紹介VTRを見てもらおうと思います。この英語が半分くらい分かったらいいと思いますが、それ以上分かるようにヒアリングをがんばってもらいたいと思います。

 

(紹介VTR視聴)


 半分くらい分かったでしょうか?それ以上分かった人は手を挙げてください。
 最近の若い人ははっきりと手を挙げませんね。日本がもっと強くなるためには、皆さんの年齢の方々がもっとパワーを持たなければなりません。間違っていてもよいから自分の意見を主張する、それが間違っていたら取り下げればいいのです。意見を言わないというのが一番良くないことです。
 それではレンゴーがどういう会社なのか説明しましょう。
 1909年にレンゴーの創業者である井上貞治郎が日本で初めて段ボールをつくりました。これが日本における段ボール産業の発祥です。レンゴーは1909年に創業し今年で108年目になります。108年間で社長は5人だけで、単純計算すると一人平均20年は社長をしなければいけないということになり、これが先ほど言った、なぜ私がレンゴーの社長を続けているのかという大きな理由のひとつです。
 レンゴーが取り扱う商品、あるいは業界の性質からいって、社長がころころ変わるべきではない、と考えています。
 レンゴーは1909年に創業し、資本金310億円、売上高5,325億円(2016年3月期)、従業員数14,000名弱(2016年3月31日現在)という規模です。従業員数は、現在はもっと増えており約15,000名で、2017年3月期の売上高は5,500億円を超える見込みです。レンゴーグループ各社の単純合算の売上高だと、7,100億円を超える企業群ということになります。

 

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 レンゴーは、ゼネラル・パッケージング・インダストリーとして、総合的にパッケージングを提供することができる企業です。製紙、段ボール、紙器、軟包装、重包装、海外の6つの事業をコアビジネスとしており、これをヘキサゴン経営といっています。先ほどの紹介VTRの中でも「Hexagonal business」という表現が出てきたと思います。
 製紙は、段ボール原紙を主につくっています。それから段ボール原紙を加工し段ボールをつくります。そして外装箱である段ボールケースの中に入るパッケージを紙器といいます。先ほどの紹介VTRにも出てきた「Folding carton」です。缶ビールなどの6缶パックで用いられるマルチパックもつくっています。
 それから、軟包装、重包装も取り扱っています。
 軟包装のなかで一番皆さんに関係があるのは、おにぎりの包装でしょう。コンビニエンスストアなどで売っているおにぎりのパッケージは、シートを切り取ると海苔が自動的におにぎりに巻きつくようになっていますが、あのフイルム包装は、レンゴーのグループ会社である朋和産業が特許を持っています。例えば、セブン-イレブンでは1日に1,500万個ものおにぎりが販売されています。それからサンドウィッチの三角形のフイルム包装も同じく朋和産業の特許です。これも1日に800万個近く販売されています。
 それから重包装で皆さんが見たことがあるのは、フレキシブルコンテナでしょう。東日本大震災の福島第一原発事故で発生した汚染土の一時保管に用いられていますが、あのフレキシブルコンテナをつくっているのもレンゴーのグループ会社である日本マタイです。これはベトナムで生産したものを輸入しています。
 レンゴーグループの拠点配置について、国内には約140拠点あります。海外には123工場21拠点あり、国内と海外を合わせると300近い拠点数となります。このうち国内の工場については、年間20工場は訪問しています。
 財務状況ですが、右肩上がりで伸びています。2014年3月期に当期純利益が減少しましたが、それ以降は右肩上がりで順調に伸びています。
 レンゴーは1909年に創業し、1972年に社名を聯合紙器株式会社からレンゴー株式会社に変更しました。
 その後、M&Aを重ねて事業を拡大し、2009年に創業100周年を迎えました。2011年には、かねてからの念願であった、アメリカ本土への展開を視野に入れた投資として、ハワイに段ボール工場を設立しました。昨年にはトライウォール社を子会社化し、2019年には創業110周年を迎えることになります。

 

講義資料


 レンゴーの環境経営のキーワードは“Less is more.”です。ギリシャのパルテノン神殿が“Less is more.”の基本となっています。どういうことかというと、アーキテクト(建築工学)が基本になっているのです。建築工学では「用・強・美」が求められます。「用」は効用、「強」はStrength、「美」はBeautyです。それを兼ね備えている建築物がパルテノン神殿なのです。逆に言えば、パルテノン神殿を分析していくことで「用・強・美」が導き出されるのです。「用・強・美」を英語に変えて建築用語として使いだしたのが“Less is more.”です。この“Less is more.”を、建築用語ではなくパッケージ業界で活用していこうということで使いだしました。
 “Less energy consumption(エネルギーの消費はできるだけ少なく)”、“Less carbon emissions(二酸化炭素の発生はできるだけ少なく)”、“High quality products with more value added(より付加価値の高い高品質な製品づくり)”、これらは非常に重要な言葉であり、環境のキーワードであるだけでなく、会社全体の経営そのものが“Less is more.”に帰結すると考えています。